株式会社シルバーウッドが主催する全6日間の介護事業者向けのマネジメント研修「マネジメントスタンダードプログラム for kaigo」実践コースについて、過去2回、本サイト内の記事で紹介しました。
※「より良いケアのカギは「ものさし」? ”介護の原理・目的”を学ぶ。」(研修1日目・2日目)
※「チームワーク・マネジメントを意識することで、現場が変わる!」(研修3日目・4日目)
研修参加者は2020年12月中旬の研修の後、学んだ内容を現場にて実践しました。その経験を踏まえ、さらなる学びや実践を促進するため、研修5日目・6日目(最終日)としてフォローアップを目的とした研修が開催されました。
最終回となる本記事では、2021年2月上旬に開催された、シルバーウッド社によるマネジメント研修の5日目・6日目(最終日)の様子をご紹介します。
講義やグループディスカッションを通じて、ケアの本質に迫り、介護の原理・目的を学んだ1日目・2日目の研修。参加者は10チームに分かれ、各チームが「食事」「入浴」「睡眠」などの介護に関するテーマについて、介護の原理・目的を踏まえて、人体がどのような構造ではたらき、どのような生理が機能しているのかを学習し、よい介護方法の一般論を導き出すという宿題が出されました。
5日目の研修では、宿題の成果として、各チームが約2か月間で探究したテーマの内容を発表しました。発表後には「日々のケアに深い意味があったんだ」等という参加者の気づきだけでなく、講師や運営スタッフも「ここまで深めるとは」と驚いていました。
例えば、あるチームからは、人類が火の利用で明かりを手に入れたことで活動時間が長くなり、1日2食から3食へ人間の食生活が変化したという歴史に触れ、1日のエネルギーを取るための朝ごはんは生活において重要な役割を担っているという、朝ごはんの意義についての発表がありました。
「入浴」に関する発表では、紀元前4000年頃のメソポタミアの沐浴が起源であり、温熱作用、リラックス効果などのため、生きていくうえで重要な活動であるという、歴史を踏まえた入浴の意義が見出されていました。
その他にも「排便」「爪切り」「座位」などのテーマについて、文献を調べ上げ、歴史や医学的な観点からケアの意義・目的・手法を改めて確認することができました。
講師の飯田氏は、医学や解剖学など様々な学問がある中で、「介護学」や「ケア学」は存在しないことを指摘しています。より良い介護を実現していくためには、提供するケアの指針となる考え方を持つことが大切ですが、その考え方の根幹をなすはずの学問体系が確立されていないのです。今回、参加者がそれぞれのテーマについて探究したように、介護やケアの在り方を学問として深めていくことが重要だと語っていました。
マネジメントにおいて対話は重要であり、より良い組織をつくっていくためには、対話の中でも、コーチング、ティーチング(教える、指導する)、カウンセリング(優しく悩みを聞く)などを使い分けて、一緒に働く人たちとコミュニケーションを取っていくことがポイントとなります。
最終日である6日目では、マネジメント力を高める取り組みの一環として、コーチングに関する研修が実施されました。
※コーチングとは、対話により相手の内的モチベーションに働きかけて目標や目的、行動計画を明確にするマネジメント手法の一つです。(研修資料より)
講義のあとには、参加者が2人組になり、それぞれコーチ役、クライアント役になりコーチングを実践。クライアント役が現場での悩みを相談し、コーチ役が講義で学んだ流れに基づいてコーチングを行いました。研修の一環ではあるものの、すでに6日間の研修を一緒に行ってきた仲間だからこそ、本音での悩み相談会のようになっており、傾聴や承認・質問といったコーチングのスキルを身につけるのにも最適な環境のように思えました。
研修の全日程を終えたとき、参加者の表情からは、7時間×6日間という濃密な研修を乗り切った達成感が感じられました。
また、研修終了時のアンケートからは、参加者のより良い職場づくりへの意欲が伺えました。
「前回の研修から1か月の間で、研修で学んだ内容を実践しましたか」という質問を行ったところ、92.3%が「はい」と回答しました。さらに、「はい」と回答した参加者に対して「良い変化はありましたか」という質問を行ったところ、47.9%が「良い変化があった」、52.1%が「良い変化がある見込みである」と回答し、「良い変化がなかった」と回答した参加者はいなかったとのことでした。
既に多くの事業者が学んだことをもとに取り組みを実践し、効果を実感、または見込んでいることがわかりました。新たなことを学び、ほかの事業者の異なる価値観に触れ、そして学んだことを実践して、振り返る。リーダーたちはこの研修を通じて大きな成長を実現できたことでしょう。
今後もより良い職場づくりへのモチベーションを高く維持し、学びを実践に繋げ続けていくためには、ともに切磋琢磨できる仲間を持つことも大切です。より良いケアやマネジメントの在り方を探究する中で、悩みをわかちあえる仲間を手に入れたことは、参加者にとって大きな財産になったのではないでしょうか。
これまで3回にわたり、シルバーウッド社によるマネジメント研修を紹介しました。
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「マネジメントスタンダードプログラム for kaigo」実践コースの紹介記事
◆より良いケアのカギは「ものさし」? ”介護の原理・目的”を学ぶ。