チームワーク・マネジメントを意識することで、現場が変わる!

突然ですが、あなたはどんな会社で働きたいと思いますか?
「理念に共感できる職場が良い」「素敵な上司・仲間に恵まれた環境が良い」など、処遇面や労働条件だけではなく、ソフトの面を重視する方も多いと思います。

こちらの写真はVRを用いてマネジメント研修を行う介護業界のリーダーたちのワンシーンです。「ケアのものさしや事業所の理念を働くスタッフにしっかり伝えたい」「問題があれば解決に導けるリーダーになりたい」「働きやすい組織・環境をつくりたい」など、今以上の環境づくりのために学んでいるリーダーが多くいるのです。

この記事を通じて、介護業界での就業を考えている方に、「働く環境を魅力的にするために取り組む介護業界って素敵だな」と思っていただけたら嬉しいですし、介護従事者の方であれば「当事業所でも取り入れてみたい」と感じていただく一つの“きっかけ”になれば幸いです。

      

~マネジメント力の向上が介護人材不足という社会問題の解決へ~

現在の日本は、高齢化社会を超え、すでに“超高齢社会”へ突入しています。
それに伴い、介護従事者の人材不足が課題となっており、厚生労働省の調査によると2025年には約55万人が不足すると言われるほどです。

人材不足を解決に導くためには新規の人材確保は重要だが、マネジメントの質を向上させて、介護現場の魅力を高めていくことや、離職者を減らすことも重要であると、上記のマネジメント研修を主催する株式会社シルバーウッドは考えています。

株式会社シルバーウッドが主催する「マネジメントスタンダードプログラム for kaigo」実践コースは、介護事業者を対象とした全6日間のマネジメント研修です。職員間の対話やケアの質の向上、離職防止等を推進するための手法を学ぶことができます。2020年12月19日(土)と20日(日)の2日間にわたり、マネジメント研修の3・4日目が、東京にて開催されました。

今回の研修はテクノロジーを駆使した研修が大きな特徴です。VRを利用して、管理者・利用者の視点から介護現場で起こっている事例を体験することで、当事者意識を持つことのできる仕立てとなっていました。“もし、実際に自分がこの介護現場にいたら、どのように行動するだろう”と考え、グループディスカッション形式で議論を重ねていくのです。その他にも、大手企業も導入しているFFS理論(※1)などがコンテンツにあり、充実の内容でした。

     

~多くの参加者が涙したミノワホームのVR潜入体験~

研修のスタートは、社会福祉法人愛川舜寿会(特別養護老人ホーム ミノワホーム)の
マネジメントを体験できるVRの上映。ある利用者様に1年間密着して、看取りまでの“作られていない”ドキュメントを全員で体験することから始まりました。日々の食事介助、夏祭り、カンファレンス風景等、ホームの職員が一丸となって利用者様に向き合う様子が見られました。それがリアルなストーリーとなり、体験後、VRのゴーグルを外した多くの参加者は涙を流していました。

ミノワホームの例では、全ての職員が一人の利用者様の情報を共有して利用者に向き合っている組織力が特徴であり、まさに完成されたマネジメントでした。多くの参加者が涙を流すと同時に、自らの事業所もこうありたいと声を揃えていました。

     

~答えのないマネジメント!ベストを追求する熱い議論~

研修の本番がスタート。今回の研修の特徴として、異なる事業所で働いておりはじめて出会う介護従事者たちがディスカッションを行い、各事例に対して最適なマネジメント手法を突き詰めていく点が挙げられます。3~4名のチームに分かれ、VRで体験した実際の介護現場の事例に対して、解決策を一つにまとめてチームで発表します。普段の職場も違えば、価値観も違う人々によって、着地の見えないゴールに向かって、熱い議論が交わされました。

最初は意見を出せずにチーム内でも静かだった参加者も、2日間を通して意見を出せるようになっていく様子が見受けられました。価値観や普段の職場の方針も異なる人の様々な意見を受け入れながら一つのゴールに向かって解決策を模索する姿からは、ダイバーシティ(多様性)への対応力を備えたマネジメント人材へと成長していく瞬間を見ることができたように思います。

この研修では、“それぞれの立場”を考えて、問題に取り組むマネジメント方法を学べます。一つの問題を解決に導こうとするとき、立場によって納得する人もいれば、逆に反発し、納得できない人も出てくるでしょう。そうした状況において、ケアのものさしや目的を共有し、議論の土台を作ることや多角的な視点から物事を捉えることが重要であると、シルバーウッド社のマネジメント研修では説明していました。

利用者様やご家族はもちろん、現場のスタッフ、看護師、上長など、全ての視点から物事に対峙するからこそ、それぞれの立場が共感し納得のできる働く環境の創造が可能になります。そのような環境を創造することが、介護現場の魅力の再認識や離職者を減らすことにも繋がるのでしょう。ディスカッションやロールプレイングを通じて“気づき”を与えられる研修でした。

      

~マネジメント研修を通じて“介護組織の在り方”を理解する~

ただ単に一人の介護従事者が利用者一人に向き合うのではなく、組織に所属する全員で「ケアのものさし」を共有することで、最適な組織になっていく。その組織が全体で利用者に向き合い、ベストを追求していく。この研修で介護事業の1つの在り方を知ることが出来たと思います。

どの業界でも、組織としての課題に不満を抱いていたり、自らの仕事や会社の事業に疑問を覚える人もいるでしょう。現在介護業界では、マネジメントで環境を変え、利用者様へ価値を提供できる場を創造しようと、リーダーたちが日々奮闘しています。介護業界の未来はきっと明るいのだろうと感じることができました。

※1 株式会社ヒューマンロジック研究所が提供するFFS理論
人の思考行動特性を5因子とストレス値で定量化し、個人の潜在的な強みが、ポジティブに発揮されているか、ネガティブに発揮されているかわかります。さらに、人と人の関係性を客観的に把握・評価でき、チームを最適な編成にすることができる理論です。
http://www.human-logic.jp/about/

       


     

「マネジメントスタンダードプログラム for kaigo」実践コースの1・2日目として、2020年12月12日(土)と13日(日)に開催されたマネジメント研修の様子も、「ふくしかいご.jp」の記事でお伝えしています。ナイチンゲールの看護論を通じて、”介護の原理・目的”を学ぶ研修です。是非、こちらのリンクより併せてご覧ください。