介護・福祉の未来を「かえる」ことで人々の笑顔を創造する~TV番組「にっぽんの要」第二弾が放送!~

~今年は「わかる、かわる、かえる」をテーマに放送~

2019年11月から2020年2月まで5回にわたりBSフジで放送された「にっぽんの要」第一弾。介護の仕事に対して漠然と「大変そう」「つらそう」といったイメージを持っていた若者たちが、現場体験を通じて、人々を笑顔にする介護の仕事に魅力を感じ変化していく姿が放送され、大きな反響を得ました。

本記事では、2021年2月に放送された「にっぽんの要」第二弾をご紹介します。今年は昨年までの「わかる、かわる」に加え、「かえる」をテーマに3回にわたって放送されました。介護・福祉の未来を変えようと挑戦する2名の取り組みや、学生の素朴な疑問について介護福祉士が答える様子について紹介します。

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~「おしゃれをかえる」ことで障がい者の笑顔を創造~

  

   

第1回は「おしゃれをかえる」というテーマに基づき、障がい者向けの靴を企画・販売するファッションブランド「Mana’ olana」を立ち上げた布施田祥子さんの取り組みが紹介されました。

布施田さんは、出産後の脳内出血が原因で左半身不随という障がいを抱えています。当初は現実を受け入れられずふさぎ込んでしまいましたが、母親の励ましもあり「つらいのは自分だけではない」と必死にリハビリを行うことで歩行が出来るまで回復し、今は同じ境遇で悩む方々の力になろうと奮闘しています。

リハビリ中に自身が歩くための補助として下肢装具を見せられたとき、「これを付けて外出したくない」「普通の靴が履けずおしゃれができない」と思ったことが、布施田さんがファッションブランドを立ち上げたきっかけだと言います。

同じ気持ちを持つ障がい者の方々にファッションの選択肢を提供したいという想いから、下肢装具を付けても機能性は失われず、デザイン性を兼ねそろえた靴を作り販売しています。「健常者と障がい者の壁を取り払った靴を作ること」をモットーに、同じ境遇の沢山の人の背中を押すきっかけを作りたいと話していました。

また、自らが企画・デザインした靴を販売するだけではなく、一般公募のデザインコンペも開催しています。コンペで最優秀賞を受賞した学生と共に、アイデアの商品化も企画中です。

布施田さんは、今後は自社開発で靴を作るだけではなく、いろいろな企業を巻き込みながら、「靴に限らず障がい者がモノ・コトを自由に選択できる、希望を持てる世の中を創っていきたい」と言います。

こうした取り組みを聞いた学生たちは「介護・福祉と聞くと、直接高齢者の方などを手助けするイメージだったが、(布施田さんの取組のように)気持ちの面から支えるなど多様な携わり方があることがわかった」と感想を述べており、福祉の仕事を広く捉え直し、興味を持っていました。

   

~介護施設のイメージを変える革新的な取り組み~

   

   

第2回では、「介護施設をかえる」というテーマに基づき、世界中から注目される介護施設「あおいけあ」の代表の加藤忠相さんにお話を伺いました。

「あおいけあ」には今までの介護の概念を大きく変える3つの特徴があります。
1つ目は「地域との境界線を壊す」こと。「あおいけあ」は国道に面した住宅街にあり、塀や敷居がありません。車の通りが激しい国道を避けるために、地域の人々が「あおいけあ」の敷地内を行き来したり、施設内のカフェや食堂を利用したりするとのことです。「大人になって “介護が必要な認知症の高齢者”として紹介されて初めて会うのではなく、子どものころから日常的に高齢者と触れ合う事が重要」と考える加藤さんは、このように壁を取っ払う事で介護施設と地域の日常生活をつなげています。

2つ目は入居者が「自信を持って暮らす」こと。「あおいけあ」では料理が得意な入居者には調理を行ってもらうなど、自分が得意なスキルを活かして生活できるよう心掛けています。そのため、施設に初めて足を踏み入れた人からは「だれが利用者でだれが職員か見分けがつかない」という驚きのコメントもあるそうです。入居者が自信を持ちながら生活することで、介護をする・されるという関係ではなく、職員と入居者が支え合う関係になるよう、工夫をしています。

3つ目は「その人らしく活き活きと」すること。そのためには入居者の情報が大事だと言う加藤さん。入居者の生い立ちや得意な事など「その人らしさ」を事前に聞きだし、生活上の要望や課題を把握していると言います。そのうえで、例えばその人の好きなことや得意なことを一緒に楽しんだり教えてもらうことで、入居者はその人らしい生活を送ることができると考えています。

「あおいけあ」ではその他にも「ノビシロハウス」という革新的な施設の運営に取り組んでいます。
「ノビシロハウス」は、1階は高齢者向け、2階は一般居住者向けの賃貸アパートであり、2階に住む人たちは毎朝出勤・通学前などに1階に住む高齢者に挨拶をすれば家賃が半額になるという面白い工夫がされています。「おはよう」「いってきます」という挨拶で高齢者と地域の人々をつなぎ、共存する日常を作るための取り組みなのです。

「あおいけあ」の特徴は、学生たちが介護施設に抱いていた「閉ざされたイメージがある」「暗い・冷たい感じがする」といったイメージを大きく変えました。学生たちは「これ以上ないくらい幸せなものが詰まった素敵な空間だと思った」と感想を述べていました。

   

~介護現場のリアルを聞く~

   

   

第3回は、モデルで現役の介護福祉士として活躍する上条百里奈さんが、学生からの素朴な疑問に回答しました。

例えば「仕事中は介護施設にずっと閉じこもっているのか?」という質問に対しては、「利用者と遊園地で遊んだり、原宿に行ってプリクラを撮ったりすることもある。利用者の希望はなるべく叶えてあげたい。」と回答していました。上条さんは仮に自分が介護を必要とする身になったとき、自分なら日々の暮らしに選択肢が欲しいと述べており、介護される立場の気持ちを考えて自身の介護の仕事に活かしていました。

また、「介護職は力仕事のイメージがあるが、力のない女性は大変ではないか?」という質問に対しては、上条さんが実際に約70㎏の人体模型を利用して上方移動の技術について教えてくれました。力を入れる方向や両手の使い方など、コツをつかめば力を使わずに女性でも簡単に動かせることを説明し、スタジオで見ていた出演者や学生も驚いていました。

多くの方にとって、まだ漠然としたイメージしか持てていないかもしれない介護・福祉の仕事。今回「にっぽんの要」で紹介されたように、介護・福祉への多様な関わり方や新しい試みを知ることで、イメージが「かわる」方も多くいたのではないでしょうか。

   

◆「にっぽんの要」の取り組みの紹介~介護・福祉かえる委員会~

   

    

「介護・福祉かえる委員会」は、「にっぽんの要」第一弾の放送に参加した2人の大学生が発起人となり、介護・福祉のこれからを「かえる」ことを目的に若者と活動していくプロジェクトです。

今回は活動の一環として、全国の学生による介護・福祉のこれからを「かえる」プレゼンテーションが紹介されました。小学生に介護・福祉を身近に感じてもらうためのイメージキャラクターの作成や、VRによって高齢者や障がい者の夢を叶える提案など、それぞれの学生が介護・福祉を「かえる」アイデアを披露しました。

「にっぽんの要」の放送と共に、学生によるプレゼンテーションの様子もぜひご覧ください。
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